楽しめる良い作品でした。
オッペンハイマーに対する日本からのアンサームービーと言われているようですが、たしかにメッセージ性もしっかり描かれていて、日本人にとって「ゴジラ」とはなんなのか、その誕生の意味を改めて考えさせてくれる、そんなストーリーになっていたように思います。
色々と思いを巡らしている間に突如やってきた、喪失感と例の黒い雨のシーン。THE王道ではあるのですがあまりに見事で、思わず涙が溢れて止まらなくなってしまいました。あそこ、私的ハイライトです。
合理主義のもたらした究極的な悲劇、その持って行き場のない怒り、憎しみ、悲しみ、絶望、そして希望、その全てを日本人はゴジラにのせていたのかもしれません。古来より苦難の度に数多の妖怪・化物をクリエイトしてきた日本人らしい究極の「アンサー」ともいえます。
アンサームービーということでいえば、困ったら最後は米軍の助けに頼り、艦隊コレクションよろしく、帰国子女エリート美少女の活躍が見られる某シン◯◯◯という映画がございましたが、これに対しても痛烈なアンサーになっていたように、私には思えました。
王道をいく展開に、山崎作品ならではの「人情味」臭、それにともなうクサイ芝居がついて回る作品ではあるので、幾度かノれないかも...と思わせられるタイミングもあったのですが、最終的にはALWAYS満足感を与えてくれる山崎監督の手腕に導かれ、大号泣大満足の私でございました。
受賞おめでとうございます。
