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ゴジラ-1.0のsithmaroのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.8
初日初回に鑑賞。
これは真っ先に観なければならない作品だと思っていた。
『シン・ゴジラ』以来の日本産ゴジラ、そりゃ期待するなという方が無理な話だ。
とは言え監督は山崎貴、個人的にこれまでの作品にあまりいい印象が無かったので過度の期待はしてはいけないとも思っていた。

蓋を開けてみればどうだろう、僅かな不安を払拭し、見事に期待値を上回る作品を提供してくれた。
『シン・ゴジラ』の成功でハードルが上がっている中でお見事と言う他はない。

今回は今まで何度となく試みられてきた『ゴジラ』のリブートと言っていい。
しかし今回はこれまでの『ゴジラ』リブートとは違うベクトルて作られた作品だと言っていい。
正直なところそれは賛否両論かと思う。
これまでの『ゴジラ』に見られたような政府寄りの目線ではなく、ほぼ敷島という末端の人間の目線から描かれているので、54年版や84年版、『シン・ゴジラ』のような政治ドラマを期待した人にとっては肩透かしかもしれない。
実際私も初見はそこに不満と言うか、違和感は感じていた。
2回目の鑑賞で、これはこれでアリかとは思ったが『ゴジラ』を見慣れている人ほど、そこて違和感を感じる人は多いのではなかろうか。

個人的には怪物としてのゴジラを強調しすぎて、ゴジラもまた水爆実験の被害者であるという側面に陽が当たらなかったのは残念。
ハリウッド版ならまだしも、日本人が作ったゴジラであるならば真の脅威はゴジラではなく、そのゴジラを生み出した水爆、その水爆を生んだ人間こそが脅威であることにも触れてほしかった。

正直なところツッコミ所もある。
蛇足と思える部分もある。
まぁフィクションなんだし固いこと言うなよ、と言い聞かせて見る必要はある。
しかし、そうした問題を補って余りあるくらいの面白さを持った作品なのは間違いない気がする。
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