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ゴジラ-1.0のheroheroのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

VFXは凄い。
しかし、物語自体は予定調和的で、意外性が無く、先の展開がほぼ予測出来てしまい、イマイチ興奮出来なかった。
水深を利用した退治計画も、ビルをも軽々と砕く強靭で分厚そうな皮膚と巨大な身体のゴジラに通用するのか甚だ疑問だ。
作戦上想定している効果は、あくまで現存する小さな生物に限られたデータを基本としているであろうからだ。
そもそも、いくら戦後間もないとは言え、あれ程の巨大怪獣が本土に上陸し、東京を破壊しまくっている状況で、アメリカがソ連を気にして何も行動を起こさないのは余りにも不自然だ。日本政府も同様。
民間人の力だけでゴジラ退治をする為の理由としてはご都合主義と言わざるを得ない。
更には、主人公は物語中盤で黒い雨を浴びる事になるが、放射能と関連付けたソレが、いかに重大な事であるかを監督は全く理解していない。
広島と長崎に原爆を落とされて間もない時系列であると自ら設定しているはずなのに、浴びた主人公が放射能に汚染されず、単なる黒色の雨としてるのを見ると、従来の多くのアメリカ映画に出てくる原爆が「放射能の恐怖を無視し単に通常より大型の爆弾」というイメージで設定されていたのと同等の違和感があり、なんともモヤモヤする。
先の「シン・ゴジラ」ではそういう不快感は感じなかっただけに、その点だけでも、作品としての評価の上でマイナス要素だ。
殊更原爆と結びつけた脚本が、逆に己の首を締め付けているように思う。
アメリカでは高評価だったようだが、その鑑賞者のどれほどが、あの黒い雨を正しく理解しているのか甚だ疑問だ。
多分ススの混じった黒い雨だと思ってる人が大半だろう。
個人的には鑑賞前からとても期待していただけに、肩透かしを食らった感じだ。

追記(上記感想から2日後)
その後、YouTubeに上がっていた本作の考察動画から、裏設定を知った。
ラストで再会する典子は、本来の典子ではなく、ゴジラ細胞で再生された偽典子らしい。敷島も黒い雨と共に降り注いでいたゴジラ細胞に侵食されていて、故に黒い雨を浴びても被曝症状が出ていないのだとか。
確かにこの裏設定を知ると、ラストの典子の首の件も含め、作中の様々な不自然シーンに納得がいく。
しかし、それを多くの鑑賞者に認識させるには、ゴジラ細胞なるモノの存在を作中でハッキリと匂わせるべきだ。
例えば、ゴジラが光線を吐き、己の身体が部分的に損傷した際に、その飛沫が周囲へ飛散する様をハッキリ認識出来るカットで見せ、その飛沫が瓦礫の隙間から見える典子の脚へ付着し、浸潤していく様まで見せてくれたなら、ボクの個人的評価も上がっていた。
だが、それを行わず終始あやふやな表現である以上、この裏設定を知っても、本作の評価は変わらない。
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