「ゴジラ」とは、日本人にとっての「戦争による理不尽な殺戮」とか「恐怖の象徴」であったり、核兵器そのもののメタファーとして描かれてきた。
その文脈は真っ当に継承されている。
この作品の価値は、VFXの使い手である山崎貴の手によってゴジラを描く、という一点に尽きる。
それが、ハリウッドの一線級のビッグバジェットの作品群を薙ぎ倒して視覚効果でオスカーを奪ってきた。
快挙だろう。
それは良いとして、人間ドラマパートは朝ドラテイストだ。
神木隆之介と浜辺美波のアプローチが朝ドラ的だからなんだろうか。
それとも演出の引き出しが朝ドラのそれなのか。
どうにもお利口さんというか、優等生的というか、悪く言うと記号的。
一言で言うと、怠い。
これは、ゴジラの破壊パートが秀逸だから、ということも間違いなく関係している。
ゴジラは、戦後復興直後の銀座を破壊し尽くしてくれる。
これは素晴らしい。
また、ゴジラのデザインも良い。
攻撃のバリエーションも良い。
続編を匂わせるエンディング。
映画館で見るべき作品だった。