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ゴジラ-1.0のILLminoruvskyのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.2
原題『ゴジラ-1.0』 (2023)

監督・脚本・VFX : 山崎貴
撮影 : 柴崎幸三
編集 : 宮島竜治
VFXプロダクション : 白組
音楽 : 佐藤直紀、伊福部昭
出演 : 神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介、他

日本が生んだ特撮怪獣映画の金字塔「ゴジラ」の生誕70周年記念作品として製作された、戦後の復興が進む中、巨大怪獣ゴジラが上陸し、かつてゴジラと遭遇した敷島を始め、戦争を生き延びた人々がゴジラに立ち向かう姿を描いた「怪獣」映画。

"大衆娯楽映画"として普通に楽しめましたし、戦後間もない日本の焼き野原描写やゴジラが登場するゴジラパートは良かったし、『シン・ゴジラ』では無かった"海上戦"描写はホント素晴らしかったと思います。

が…

ドラマパートの山崎貴の演技の演出トーンと説明セリフ過多な作風が肌に合わず、キャスト陣が皆んなダメ演技に感じてしまう箇所が多々ありで、
個人的に良かったのは、正直、子役の永谷咲笑ちゃんぐらいで、神木隆之介、あの安藤サクラですらもイマイチ、佐々木蔵之介に至ってはシラケまくり…
あと、敷島の、戦友たちの死に対する責任、罪悪感、もっと言えば日本の男たちの挫折感の乗り越えという人間ドラマに重きを置いた為、「ゴジラ」という存在が犠牲者意識の強調や敗北感の克服のための、ただの装置として都合よい存在でしかなくなっていたり、戦争体験者の加害者としての戦争の反省と後悔を全く描かないのはモヤモヤしましたし、「戦争」を色濃く感じさせる戦後直後を舞台にしておいて、見たくないモノ聞きたくないモノに言及しないこの辺りの山崎貴イズムは真摯ではないんじゃないかなと…
故にラストの敬礼に気持ち悪さを感じてしまった。

ゴジラパートが素晴らしかっただけに、ドラマパートの演出と内容の少しのチューニングでもっと面白い作品になったであろうなぁと感じられた一作。
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