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ゴジラ-1.0のmaverickのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.1
2023年公開の日本映画。ゴジラ生誕70周年記念作品。


『シン・ゴジラ』以来7年ぶりの国産実写ゴジラ作品。第96回アカデミー賞では、邦画・アジア映画史上初の視覚効果賞を受賞するという快挙を成し遂げた。ROBOT制作によるハイクオリティのCG描写は見事なもの。戦後間もない日本が舞台という作品性も良かった。過去のゴジラシリーズと比べてリアル寄りというのが最大の特徴でもあり、人間ドラマを主軸として構成されている。これについては賛否両論であろうが、過去作に敬意を表しつつも新たな方向性を打ち出したことは評価出来よう。

過去のゴジラシリーズとは毛色が異なる。『シン・ゴジラ』もリアル路線であったが、あちらはまだ特撮色が強かった。系統としてはハリウッド版「モンスター・ヴァースシリーズ」のゴジラに近いかなと。そこに邦画らしい人間ドラマを加味した作品性となっている。日常にゴジラが登場したらどうなるかというのをリアルに感じさせる物語。着ぐるみとミニチュア演出のゴジラの方が自分は好きだけど、こっちはこっちで良さがある。リアルなだけにゴジラの怖さが際立ってもいた。

人間ドラマの部分を際立たせていただけに、そこで粗が出てしまったとも言える。過去のゴジラシリーズのチープさに比べれば遥かにマシだが、それでも邦画特有の演出の安っぽさは所々で感じた。セットだと丸わかりな場面とか、時代背景に合わない演者の小奇麗さだとか、リアルさを売りにしただけにそれが余計に気になってしまう。役者の演技も良くはない。戦争をテーマにした人間ドラマとしてもイマイチ。視覚効果賞受賞は誇らしいが、それ以外の部分に関しては平凡な邦画の人間ドラマな印象だ。

舞台は戦後の日本。アメリカ軍が介入して来ないので、派手な戦闘が発生しないのが残念ではある。スーパーXとかメーサー戦車はおろか、兵器そのものがほとんど出ない。でもあの艦の登場には思わず歓喜。何て心憎い演出だろう。さらにあの機体の登場である。恐らく実写で初登場では?この機体が活躍する姿を見れるだけで、ミリタリー好きとしては評価が爆上がりするというもの。ゴジラファンであれば、こうした要素は感動もの。監督はちゃんとツボを押さえている。


テーマとしても同監督の『永遠の0』と通じる部分があり、そこは胸熱であった。ラストの演出も、なるほどなと頷ける。なんやかんやとケチはつけたものの、総合すると満足な出来栄えである。やっぱり国産ゴジラ映画は良い。ハリウッド版と並行して、今後もコンスタントに作り続けてほしいものだ。
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