回想シーンでご飯3杯いける

ゴジラ-1.0の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
1.5
期待していたわけでは無いけど、あまりに評価が高いので鑑賞。

確かに所謂特撮映画、怪獣映画としての「ゴジラ」のブランドに恥じないアイデアと映像を楽しめる作品ではあると思う。が、しかし、日本映画業界で大きな影響力を持つ東宝が、今も続編やリメイクを作り続けているのが、70年前の作品「ゴジラ」で、時代設定はシリーズ1作目より更にさかのぼって終戦直後というのは、あまりに懐古趣味が過ぎないか。

そして、近年の邦画で顕著な「被害者目線による共感映画」というプロットを徹底している点も気になる。作品内で日本は太平洋戦争の被害者であると一点の曇りもなく描き、日本軍の加害性には触れない。ゴジラという非人間を敵とする事で、戦争や人間の罪について考える事から目を逸らしている。終盤では危うく特攻美化か?という流れもあり、違う意味でヒヤヒヤしながら観てしまう事に。これで感動とか到底無理な話である。

「シン・ゴジラ」は、シリーズに斬新な演出や新しい才能を取り込んだ意欲作だったと思うが、今回の「-1.0」には頭を抱えてしまう。東宝が今後も同様に懐古趣味を突っ走るのだとしたら、日本の映画業界はかなり拙い。「PERFECT DAYS」で日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞した役所広司のスピーチ「ゴジラの牙を抜いた」は、冗談ではなく強烈な皮肉だったと僕は理解している。