HiroyukiNihei

ソフト/クワイエットのHiroyukiNiheiのネタバレレビュー・内容・結末

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

※ネタバレ有り

多文化主義やLGBTQなどの思想が広まり,大っぴらには差別への理解や認識が変わってきたのは事実であろうが,BLM運動から様々な運動が派生するなど,差別や偏見は至る所に在り,偏った思想が時として予想外の惨劇を招く。

本作は身近に起こりうるエコーチェンバー現象の最たる例だと思われる。前半の描写も平穏な日常かと思いきや,差別や偏見に満ちている。後半は非常に凄惨な場面の連続だ。この一連の悍ましい展開をワンカットで描いていく。他人事ではいられない。誰が主犯というわけでもなく,バタフライ効果的にそれぞれの小さな綻びが重大な結果に繋がったのだ。一つひとつの言動が次の誰かの言動の引き金になっている。捉えようによって,ハインリッヒの法則のようにも考えられる。関わった加害者のうち,誰であれこの負の連鎖を断ち得た。エミリーの夫であれ,この惨劇に歯止めをかけることはできたであろう。
HiroyukiNihei

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