旅するランナー

ソフト/クワイエットの旅するランナーのレビュー・感想・評価

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)
4.5
【#WhiteLivesMatter】

幼稚園に勤務するエミリーが、教会での集りに向かう。
秋本鉄次氏が、キネマ旬報でパツキン美人として取り上げるような女性です。
見た目は普通の女性ですけど、若干違和感があります。
その違和感が、この集りに参加した女性メンバーに手作りパイをお披露目する段になって、明らかになります。
パイのデコレーションが、赤いハーケンクロイツなのです。
こいつはおかしい。
そうです、この会合は、彼女が立ち上げた「アーリア人団結をめざす娘たち」の会合なのです。

白人至上主義。
アンチダイバーシティ。
目指せ単一民族国家。
移民は出ていけ!
彼女たちの本音トークが炸裂します。
黒人・有色人種への恨みつらみがボロボロ出てきます。
更なる分裂を生む出す極論の数々。
でも、若干違和感があります。
ごく普通の彼女たちのポリコレ疲れとも取れる発言。
その所々に共感してしまっている自分がいるのです。
これはおかしい。

92分全編ワンショット。
その後暴走していく彼女たちの一員になったように錯覚する、流れるよな展開。
普通の女性たちによるヘイトクライム。
暴走・暴力・暴挙に巻き込まれていきます。
これはおそろしい。
サイレント・マジョリティの内に秘めた気持ちをエグってくるような、心理的ホラー映画になってます。