Ridenori

ソフト/クワイエットのRidenoriのレビュー・感想・評価

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)
3.5
題名が秀逸。
得てしておしとやかさや奥ゆかしさの仮面を被った裏側に本当の狂気が潜んでいるもの。
それが集団心理によって露わになり、かつ増長した時にどうなるか、をワンショットで端的に表した良作。
胸糞悪い、イライラする、というようなレビューを散見するけど、画面越しに他人事として捉えてるうちはそう感じるのだと思う。
本当に胸がザワつくのは彼女たちの所業ではなくて、「どこかではなんとなくわかってるけど、見て見ぬふり、でフタをしてる負の感情」を誰しもが秘めているということ、そしてそれがひょんなキッカケで表出しうるという現実を改めて突きつけられていること、に対して。
ヘイトクライムとか言えば今風なのかもしれないけど、昔からある簡潔な言葉で言えばその先には「イジメ」、極端に言えば「戦争」というものが延長線上に存在していたりする。そのような「日常」を生きていた人たちがいるのもまた事実。 
そしてさらにホラーなのはこの映画内の「異常」は意外と自分たちの日常にとても近しい位置で物静かに今この瞬間も居座っているということ。
Ridenori

Ridenori