ギャス

ソフト/クワイエットのギャスのレビュー・感想・評価

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)
3.3
レイシズムのとことん胸糞な映画という評判に逆に好奇心をそそられて鑑賞。
ただ、相当覚悟したほうがいいとの言葉もあったせいか、観た後なるほどとは思ったものの、意外と普通の映画だった。
ムカムカさせるようにできているので胸糞映画であることは本当だが、レイシストの思考回路や行動原理を知るには良い見本かもしれない。

物語の展開は前半と後半に分けられると思うが、やはりちゃんと頭を整理して彼らの会話の一言ごとに脳内で反論しながら見るべきなのが前半だ。
何も知らずに、確かになぁと同意する箇所がもしあるなら、それこそふんわりと静かに(ソフト/クワイエット)偏った思想に侵食されてしまっていることになる。


ネタバレ
やたら白人の容姿の遺伝子の素晴らしさに言及するナチ思想な白人保守主義者達。駐車場でナチ式の敬礼をふざけながらやっている。その会の金髪碧眼高身長のリーダーが「会誌を作ろう。創刊号は過激でなく慎重に。ソフトにクワイエットに皆んなの心に入りこまないと」という言葉がタイトルだ。

胸糞なのはほぼ最後まで奴らが好き放題するだけで終わるから。
今後彼らは子供とも離され罪を問われ刑務所にぶち込まれるのは明白なのだが、
本当にそうなるだろうか…と一抹の不安がよぎることこそ現代の恐怖なのかもしれない。アメリカで、黒人を殺した犯人の無罪放免があり得ることを知っているから。

あと、前半のバカな会話や後半の頭の悪すぎる展開は全て女によるもので、それらを諌めようとする(実際には止めないが)のは男であるという偏りはちょっと気になった。
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