深獣九

ソフト/クワイエットの深獣九のレビュー・感想・評価

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)
3.5
とにかく緊張感にあふれた映画だった。人種差別を題材にしてるのだが、いつ何が起きてもおかしくない何かが起こるに決まってる、そんなドキドキが続き観終わってぐったりした。

緊張感はシナリオのせいだけではなく、ワンカメノーカット撮影だったこともあるだろう。ひとつのNGで振り出しに戻るのだから、キャストもスタッフも真剣度が違う。気の休まるときはないだろう。それが伝わってくる。

内容は不穏で胸糞で観ててしんどい。アメリカの抱える問題を描く作品なので、正直私にはちゃんと理解できないのだが、やはり登場人物たちの考えや行動には違和感を覚えるし、肯定することはできない。それを直球で描いているのだから、率直に凄まじい映画だなと思う。

日本でも外国人に対して親切にしようとする人たちがいる反面、ヘイトをあらわにする人がSNSにはあふれている。「外国人の安全を守る警察官」という記事に、国民より外国人を優先するのかとコメントしてる人がいる。まさにこの映画の「アーリア人団結を目指す娘たち」だ。日本人も単一民族だから、そういう危険性もはらんでいるのかなぁ。まぁ、もっと複雑な歴史的事情もあるんだろうけど。人種によって優劣なんかないと思うし、それを信じたいよな。

考えさせられるしドキドキを味わえる良作だった。評価の3.5はワンカメ補正。限りなく4に近いのでおすすめしたい。ただし耐性のない方はご注意くださいね。
深獣九

深獣九