いずみたつや

ソフト/クワイエットのいずみたつやのネタバレレビュー・内容・結末

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ほとんど内容を知らずに観たので驚いたと同時に、ものすごく嫌な気持ちにさせられる映画でした。

幼稚園の先生が「アーリア人団結をめざす娘たち」第1回の会合をひらき、ナチ敬礼で挨拶をしてハーケンクロイツのパイを出すという冒頭だけでぎょっとしました。

全編ワンカットの生々しい空気感と緊迫感は息が詰まるものがあります。一度回り始めた歯車が誰にも止められなくなっていくところの恐ろしさは振り返っても気分が悪くなります。

主人公が幼稚園の先生であること、妊活中の主婦であることは重要です。本作の怖さは白人至上主義グループという過激な思想を持ち、暴力的な行動に出てしまう彼女たちが「普通の人」という点にあります。

これは当然世界で起きているヘイトクライムを反映したものであり、自分のすぐそばでも起こりうることを暗示しており、フィクションという逃げ道が断たれ、映画がこちら側(現実世界)へと侵食してくる不気味さがありました。