ぼっちザうぉっちゃー

名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)のぼっちザうぉっちゃーのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

予め備考:
ほぼミリしら状態で二日前に初めてアニメ第一話から最低限の予習だけして鑑賞。

結論:
惚れてまうやろぉおお!


「なんか面白そう」という、みいちゃんはあちゃんもビックリの野次馬精神ではあったが、二日かけて関係性を整理していく内に最短で「名探偵コナン」のツボを押さえる、“コツ” のようなものを掴んで、我ながらほぼ完璧の状態で楽しめたのではないかと思っている。
あと何気に監督が、唯一友達に連れられ観た記憶のある「ゼロの執行人」の方で、しかも『モブサイコ』や『BLUE GIANT』なども手掛けられているというお膳立て状態だった。加えてゲスト声優には種﨑敦美で、もはや観る運命にあったとすら言える。(しかしいまだに第一声で気付くのムズイです。)


事のあらましを影で表現するという、なんだか『ミッション:インポッシブル』みたいなクールなオープニングシークエンスの開幕。決め台詞。
そして序盤から、灰原バレというとんでもない大事件を起点として、黒の組織の襲撃と蘭の応戦、博士とコナンのチェイス、というスピーディーでスリリングな展開が繰り広げられて、もう既に「やってんねぇ!」の興奮状態だった。

そしてそこから少しクールダウンして勃発したのは、黒の組織のヒリつく渋い会話劇。
そこではまず、にわからしく改めてシンプルにデフォルトの声優たちの豪華さに震えていた。なんやこの組織はと。もちろんその内容についても、各々の思惑とパワーバランスが絶えず天秤に絶妙な傾きを生んでいて、静かに白熱する見応えがあった。なにより、自己流「名探偵コナン」のコツ(「“誰が”“何を”“知ってる”“知ってない”」の把握)を徹底してきた自分にとってはもってこいの実践問題のようで、初めて本当の意味でコナンを楽しめていることに勝手に感激していた。
全体の内容としては、謎解きパートの方もがっつり黒の組織が絡んでいたり、舞台が海上に孤立していたり、最低限の登場人物であったりすることで、ひたすら灰原を中心とするドラマにフォーカスしたものになっていた印象。そんでまぁそれにまんまとやられた。

とにかく終盤30分あたり、コナンを介した安室と赤井の電話あたりからの怒涛のアクションとエモーションが尋常じゃあない。
灰原を脅かす闇(黒の組織)にコナンが文字通り「光を当てて」、「捕捉した」赤井がロケランで一発。そうして助けられた灰原が、次は逆にコナンを助ける。
ここまでで十分、地味ではあるが爆発も観れたし、事も無しな展開だった。
しかし、そこからおっぱじまっちまうのは、組織はおろか、他の誰も、空気すら介入しない水中での、人工呼吸という名の口づけ。深いところで交わされる、脳内会話。ゆっくりと浮上する、この世で“たった二人”。煌めく水面。流れるテーマソング。(「えぇ歌詞あったのォ!?」←まさににわか)そんな美し過ぎるような半ばロマネスク。
そして極めつけとして、「なんかもういっちゃいましょオォッ!!」と言わんばかりに繰り出されたお決まりのシュートが、灰原の頭上を流星のごとく切り裂き、巨大な水のうねりを貫いていく。
これは惚れるて。好きになってまうよコナン歴三日でも。なんやこの超絶エモスペクタクル。色々と本気で獲りにきてるのがひしひしと感じられた。

そしてそしてラスト、灰原から蘭への「お返し」。真実は、水底に置いておく。
はい、そこでばすん!エンディング!スピッツ!美しい鰭。
さ・わ・や・かあぁぁぁッッ!!!すっごい爽やか。なにこの気持ちよさ。清爽の香り。
予告からすごい感動系の煽りを喰らっていたけれど、逆にまさかここまでソルティライチな後味を噛み締められるとは思っていなかった。そういやこいつら高校生やん。。。

とにかく、最初にして最高のコナン映画体験。しっかり心奪われました。観に行って良かった。
これからも、こういうミーハーながらに軽やかに楽しめるフットワークみたいなものを覚えておきたいなと思う。

なるんだ灰原。100億の女に。