ここ数年のファンに媚びまくる路線は嫌いじゃなかったんだけど、さすがにこの作品はやり過ぎという気がする。
満を持しての灰原メインで気合が入っているのは分かるが、作品の全ての要素が灰原を立てるための舞台装置と化してしまって、前半の拉致以降は期待したほど盛り上がらない。
というか、その灰原の行動にしたってほとんど過去作でやったことの焼き直し。
「正体がバレたかも!」→「私はやっぱり生きてちゃいけない……」の流れは『天国のカウントダウン』や原作で散々やったし、ピンガの顛末は『漆黒の追跡者』とほぼ同じだし、ラストのアレもはるか昔に蘭が似たようなことをやっている。
唯一違うのは女性技術者との交流ぐらいだが、詰め込みすぎたせいかイマイチうまく機能していない。
メインの事件も、赤井や安室が万能すぎて最早デウス・エクス・マキナ。コナン一人で立ち向かわなければならなかった頃の方がよっぽどスリリングだった。
総じて、気合は感じるけど工夫は感じられない映画。