アオヤギケンジ

水は海に向かって流れるのアオヤギケンジのレビュー・感想・評価

水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)
4.0
やさぐれ広瀬すずが最高な映画。
とにかくやさぐれた榊千紗(広瀬すず)が最高です。全編を通して気怠い感じの佇まいは、今まで観た反抗期っぽいやさぐれさとは違い、人生に対する諦観のようなものを感じさせるものでした(とは言ってもまだ26、7歳ぐらいの設定ですが)。
今作は身勝手な大人たちに振り回され続けた子どもたちがその呪縛から解放される、みたいな話なのですが、その呪縛を表現する広瀬すずのやさぐれ方が非常に良くて、作品自体の生命線になっていたように思えます。広瀬すずの演技がなければこの作品はなかなか成立させるのが難しかったんじゃないかと思えるほどのものだったように思います。
ただ今作は料理するのがほぼほぼ千紗であるのが非常に違和感を覚えるとか(一回だけ高良健吾も料理するけど)、楓が添え物のようで物語を展開させるためだけのコマに見えてしまうとか気になるところも多々あって、それがかなりノイズになってしまいました。もっとずっと上質な作品にできただろうに、という感想です。
それでも広瀬すずの確かな演技力と存在感を堪能できる作品ではありました。