結局カレー

水は海に向かって流れるの結局カレーのレビュー・感想・評価

水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)
3.2
「なんでもないところで転んじゃって」がホントになんでもないところで転んじゃってることなんてほとんどないと肝に銘じた方がいいね。

芸能人は不倫だなんだと取り沙汰され批判の嵐に晒されるわけだけど、結局一番の被害者は家族であることを忘れてしまいがち。ワイドショーの1コマに過ぎないネタも家族にとっちゃ人生を揺るがすほどの大問題。それは一般社会でも変わりない。自分勝手な親の裏切りは「こうはなりたくない」という子どもに決意させるきっかけになって恋愛や結婚、家族を持つことへの希望だとかを遠ざけるのこともある。不倫、ダメ、ゼッタイ。

怒りのために消費するエネルギーっておっきくてしんどい。だからその怒りから解放されたくて相手を許したり時間をかけて忘れたりするんだけど、大きな傷を負っていると許すことも忘れることもできずただただ囚われ続けていく。瞬発的に発散しきれなかった怒りは燻り続けているけど、いざって時に上手く吐き出せるわけじゃない。1番傷ついたであろう父親が折り合いをつけてしまってるなら尚更、この怒りって間違ってる?と思っちゃう。「怒ったってしょうがないことばかりだけど、怒らないのは許してるのと同じ」と信じて怒る千紗にどうしようもなく共感しちゃうなぁ。「榊さんが怒ってたこと、俺がずっと覚えておくので大丈夫です」って言葉は良いな。被害者だって幸せになっていい、みたいなね。直達くんすっげえ。

恋の物語としてはピンとこなかったけど、16歳の男の子の包容力と美味いごはんの温かさに包まれた物語でした。