銀の森

水は海に向かって流れるの銀の森のレビュー・感想・評価

水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)
3.7
原作から省略された部分も結構あり物足りなさも若干あったが、それでも良作だった。

小学生の時に父の不倫で両親が離婚した身としては「水は海に向かって流れる」の怒る、怒らないの部分がささりすぎる。わたしは怒れないまま大人にされた。でも大人になった今は、怒っても何も変わらないことも知ってしまっている。向き合う勇気がない私は怒らないまま、会わないまま今に至っている。
榊さんが許してほしいと願う勝手な大人たちを許せないのと、直達がおばさんの物語に付き合わされるのが面倒で怒らなかったと言った両方がそれぞれリアルで、怒るにもエネルギーがいることだしそもそもその元凶がなければとも思ってしまう。でも起きてしまったから、もうなかったことにはできない。
教授が榊さんに言った「いつまで16歳でいるつもり」は頭ではわかっても、親の不倫で負った傷なんて大人になっても簡単には直らない。そもそも子供に背負わせるべきものじゃない。

それにしても、一見善良で無害そうに見えるのにダブル不倫して家庭を壊した挙句自分は元の家族に戻り、良かれと思ってした行動が息子も妻も結果的に振り回した熊沢の映画版の配役がぴったりすぎる。
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