最近の是枝監督の映画には「なんか優等生的にまとまるようになってしまった」と感じていたのだけど、今回はとてもよかった。それはやはり坂元裕二の脚本によるところが大きいと思う。
ドラマではたまに瑕疵に思えてしまうときもある、坂元裕二の「登場人物がグッとくることを言いすぎる」傾向も最小限に抑えられている(今回は田中裕子)。とはいえ是枝監督は何も削ったり足したりしてないようなので、これは坂元裕二自身が意識した結果かなと思う。でもこれをドラマでやろうとすると「もっとわかりやすくしてください」とか言われちゃうんだろうか。
でもこの映画で一番驚いたのは柊木陽太で、彼を見つけた時点で今回のキャスティングはほぼ成功していたのではないかと思うほど。ドラマ「PICU」のときはそれほど意識しなかったのだが…。
もちろん安藤サクラと田中裕子のあの短くも恐ろしいシーン(笑えるシーンもあるんだけど)、絶妙な永山瑛太、といった脇を固める大人も素晴らしく、近藤龍太の撮影も良い(フィルムかと思ったけどデジタル)。