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怪物のdmeroのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

社会を原因に見る是枝さんと、人間や人間同士のどうしようもない部分をリアルに映す坂元裕二のタッグ。登場人物らの不幸や生きづらさは全て歯車がうまく噛み合わなかっただけで、そこに怪物はおらず、人間だけが存在する。
生まれてしまった世界がたまたま生きづらかっただけ、してしまった失敗も選択も、たまたま上手くいかなかっただけの彼らが報われない。なんて残酷。
だからこそ自分の失敗も他人の失敗も許していきたいと思うんだけど、性善説で物を見ると病むからね。
この不条理な世界を愛すしかない。強く生きたい。そんなのはまともな思考ではできないので狂うしかない。
田中裕子の諦めた表情や台詞が、ある種悟っていて、さらに悲しくなる。
こんなにも現実を美しく切り取り、エンタメ性ももたせた映画、ないでしょ。
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