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怪物のmellyのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

悲しかったなぁ。辛かった。わたしは子どもたちのことばかり考えてた。

一緒に見に行った人が、「誰も悪くなかったってこと?」っていうから、「誰も悪くなかったし、みんな悪かったね」と言ったら首を傾げられてしまった。でもわたしはそう思った。悪意がなくても人を苦しめることはあって、それが愛でもね、苦しめたり苦しんだりして、それはとても悲しいことだ。

最初から最後まで、子どもたちふたりきりの幸福がわけもなく悲しくて泣いた。「子どもたちふたりきりの幸福」なんてものが長く続くわけないからかもしれない。
会いたくて暗くなるまで待っていて、連絡が来てうれしくて入り口まで迎えに行って、母親に抱きしめられながら離れる背中を見送ったとき。電話が来ていてもたってもいられなくて車から飛び降りさえするだけの情動が本当に苦しかった。悲しかった。子どもは無力すぎる。あんなに小さな時にこれだけのことが起こってしまったら、あとは何十年も消化試合のような毎日を過ごすことにならざるを得ないだろうなとかを考えながら見ていた。見ていたらこうだ。幸福すぎるから対価が大きいのかもしれない。その逆なんてことはあり得ない。
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