学校側の応対のオーバー一歩手前な気持ち悪さ、『果たして真相は…？』という興味の牽引、思春期の心情の微妙な機微…等、鑑賞中は見応えがあって満足していたけど…
観終わった帰り道に反芻してしまうのは、どちらかというとモヤモヤポイントでした。
曖昧なまま放置された細かい謎も気になるは気になる（あの隣の席の女子が後半ノータッチなのは、ちょっと…）のですが、一番引っかかったのは、「セクシュアリティに対する無理解」の描写がやや類型的、そしてそこに「変化」はないまま、という点。
生前の麦野父の設定、男子のいじめ描写、星川父の人物造形等の、ちょっっとばかり旧い・安直・いかにも、な印象も『うーん…』となりましたが、何よりラスト。一見綺麗で詩的、しかし悲劇的な含みもある幕引きでしたが、『この「真相」は最後にもう一度母親視点に戻って突きつけられるべきだったのでは？』と思えてなりません…。
役者陣の演技、場面場面の緊張感、印象的な画…等、基本的にはいつもの高水準クオリティ・是枝映画でしたが、「題材の扱い方」が今回はちょっと…といったところです。
