律

怪物の律のネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

なんか、すごい。度肝を抜かれたという感じ。
全く予想していなかった展開だった。

2人が抱き合ってる時の、依里の「大丈夫、僕も時々不安になる」っていう言葉は、性の多様性が認められつつある現代の中で、核心をつくような言葉であると私は感じた。昔と比べたらだいぶ生きやすくなったけど、でもまだ、当事者の思いに「共感する」までには至っていない。「LGBTQ」「性の多様性」って、SDGsと同じくらいに言っておけばいいと思ってるような、慣れというか恒常化しつつあるから、もし自分が同性を好きになったら、と考えるまでには至らない。でもその「もし」を考えた時、それを否定したくなってしまう。純新無垢な子供でさえ、そう感じてしまう、そう感じさせてしまう社会が、風潮が、確かに日本にはまだまだある。校長先生の「誰かにしか掴めない幸せは幸福ではない、誰にも掴める幸せが幸福」という言葉にあるように、真の幸福追求権とはなんなのか。

映画の中での音楽の役割ってすごく大きいんだな、と考えさせられ、坂本龍一さんのすごさ、偉大さを再確認した。最後のシーンで涙がグワッと溢れたけど、それは監督の演出や脚本、役者さんの演技力はもちろんのこと、坂本さんの音楽があってのことで、感情を昂らせるのに音楽は必要なのだと感じた。

最後の、青々とした青春の中で2人が駆けていくシーンや、門で閉ざされていたはずのつづきの線路が門がなくなり、解き放たれたショットを見て、本当に本当に、子供たちには自分の感じたまま、思うままに人生を歩んでほしいし、彼らに自信を与えられる環境を整えてあげたいと思った。
律