最近、実生活でも又聞きの怖さを思い知らされる。図らずも、この話もひとつのストーリーを主観の違いによって、こんなにも別物として見る事が出来るのかと。その手法がもう鮮やかすぎて。ラストシーンは感情揺さぶられて泣きそうになるくらい。生きてるって素晴らしいみたいな、でも凄いのは決してそれを叩き付けるような激しさでなく、沁みるように流れ込んで内部から湧き上がってくるように感じられること。随所に挟まれる美しい画が映画を見ることの喜びを満たしてくれる。坂元裕二と瑛太が好きだから見よう、となったわけだけど、観賞中はその事も忘れちゃうくらい没頭させられた。ぐあっと最高潮に達するかくらい盛り上げといて、壮絶に気持ち良く肩透かしを喰らうような。褒めとして。めっちゃいい作品でした。又聞きして自分がしゃしゃって茶々を入れることで余計拗れてる実感があって、それが子どもなら尚更。親子教師の三角関係の難しさ如何程…と前半は考え込んじゃうんだけど、もう後半は大人子供なんて関係なく人間じゃんって。そういう個人的な意味でも今出会う価値ある映画でした。特別感みたいなものを自分に付与して、それで得られる他人とは違う幸福みたいなものを探しがち、だけど、そうじゃないんだって諭される感じは効いた。
