映画を観ることで、自分とは全く違う立場にいる人の経験や感じたことを共有できることがある。是枝監督は観客にそれを求めているのかもしれない(フォローしている方の是枝作品レビューからヒントをもらいました)。
「たった1人の孤独な人のためにこの脚本を書きました」とコメントした坂元裕二。たった1人と語っているけど、驚くほどたくさんの孤独な人へのメッセージを感じた。それはもう、映画としては詰め込みすぎなほど。だけど、映画の中に「ああ、私がいる」と思えることが、どれだけその人の心のなぐさめになるかを知っているからこその詰め込みなのではないか、と思う。
少年たちの姿が幸せそうで、とてもとても美しくて、いつまでも観ていたい光景だった。見た目は何も変わらない世界であっても、何かが変わっていたらいい。光が孕む影が、どんなにおそろしいものだとしても。
