さすらいのエマノン

怪物のさすらいのエマノンのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
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久々の映画鑑賞。ここでの評価が高かった本作をチョイス。

是枝裕和監督、坂元裕二脚本作品。音楽は最近お亡くなりになられた坂本龍一(偉人に敬称は不要)。

冒頭の消防車2台。何処へ消火しに行くのかと思ったら雑居ビル。2台では間に合わんぞ。
しかも炎はCG丸出し。炎の物理演算は簡単だと聴いたことがある。炎の上がり方に難癖をつけているのでは無く、どんな建築資材でも普通ならば炎よりも煙の方が多く上がると思う。

自分は中度の難聴なので邦画は聴き取りにくい。そろそろ補聴器が必要だと痛感させられた。本当に何を言っているのか聴き取り辛かった。

故に本作のレビューも雑感を少しだけ留めることにしたい。

安藤サクラさんのお子さんが学校でイジメに合っているらしいと気づき、校長室に抗議に行くシーンが第一幕。特に幕毎に何かのタイトルなどは出ないのだが、この映画は一つのエピソードを其れに関わった色んな人々の視点で描かれると云う趣向。

校長は田中裕子さんが演じる。あることを機に彼女は憔悴しているのであるが、何故か休職もせずに安藤サクラさんの息子の事案に介入する。ヨレヨレのよぼよぼの体(てい)で。ここにもリアリティを感じることが出来ず。
冒頭のビル火災と同様に。
校長になるには胆力と政治力が必要。こんな弱々しい方が校長になれるとは思えなかった。第一に校長なのにスーツを着ておらず、割烹着みたいな出で立ち。無しだと思った。

何故か抗議の場に必ず出席する担任や教頭達。教師ってそんなに暇だと思うのか? 実際は激務なので此処もリアリティ不足。

教育委員会もマスコミの記者も介さず新聞の社会面にイジメ事案が掲載される。うーむ。

教師も巻き込んだイジメ事件が多様な視点から描かれるのであるが、少年同士の関係に危なげな印象を受けた。ひとつ間違えれば、小児性愛者の撮った映画になるのでは無いかと思った。例え此れが今作品のテーマだとしてもあんな美形の子役達に演じさせる必要があったのか? 小学生の高学年の頃はまだまだ性の分化がハッキリとしておらず同性同士が危うげなエピソードを抱くことは日常茶飯事のことである。断言。自分もそういうエピソードを持っている。一本の映画のテーマに相応しいか否か? 自分は否の立場を取る。第一に今の小学生はませていて同性を性的な対象としてみてしまった場合はもっと苦悩するか、あっさりと異性と色恋を゙するであろう。監督や脚本家の頭の中は昭和で止まっているのであろうか? 

自分は頭が悪いので、映画の深い意味を汲み取ることが出来ず表層的なことしか云えなかった。

ひとつ云えることは全ての虚構は一人の頭から湧き出た夢物話のようなモノなのでコレにリアリティを与えるためには周到な取材が必要。監督や脚本家の方々は其れをしたのか? 

自分には合わなかった。

追伸)現在はどうなっているのか? 地方の格差はあるのか? 浅学故に知らぬが、教師は殆ど無利子でお金が借りられると思う。中村獅童が小馬鹿にし、実際、賃貸住宅に住んている永山瑛太の描写も酷すぎだと感じた。もっと取材をしましょうね。

追追伸)ビッグクランチのことを子供達が話すシーンも白けた。

理論物理学者のホーキング博士が宇宙が膨張を止めて萎み始めた時にエントロピーのベクトルも逆回しのようになると云う仮説を何十年も昔に唱えたことが有る。勿論、そんなことは無いと後に間違いを認めていらっしゃったが、何故かこの仮説を延べる子供達。脚本家のセンセー。理論物理学の引き出しもアップデートしましょう!