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怪物の503のネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

自分用

【ストーリー】
教師に体罰を受けたと主張する母は学校に問い合わせるも雑な対応を受ける
真実を探すうちにある事実に気づく

(1幕)
母は息子の異変に気づく
息子は担任に殴られたという

(2幕)
母の目線
学校に問い合わせる→言い訳ばかり
担任に息子がいじめっ子だと告げられる
いじめられていた子に会う
担任の体罰が世間に広まる
台風の日 息子が姿を消す
ーーーーーーー
担任の目線
明るく気さくな担任
湊が暴れた際をそれを止めるためにぶつかる
湊の母が来た際に説明しようとするも学校に止められる
マスコミにも追われる中、ユウリの作文のヒントに気づく
台風の中、湊に会いにいく

→母と担任は湊とユウリを捜索する
2人の秘密基地を発見する

(3幕)
子供達の目線
友人のユウリがクラスでいじめられているが
見てみぬフリをしていた湊
2人は放課後密かに秘密基地で遊んでいた
ユウリをいじめから助ける湊
台風の日 ユウリを家から救い秘密基地へ向かう

【構成】
上記にストーリーを書いたが
こんなに簡単にあらすじをかけるものじゃない。

母、担任、子供
この三つの視点から語られるストーリーは
全く別物と言っていい。

前半部分で完璧にミスリードをくらい
しっかり伏線を回収していく

母と担任のパートがあるからこそ
子供達のストーリーが純粋で美しさすら感じる
三つ目のストーリーがより引き立つ
素晴らしい構成

【演出】
前半とにかく重々しく
タイトルの通り、怪物みたいな人だらけ
役者の演技が半端ない。

視点が変わるだけで善悪が変わる。
安藤サクラは安定に圧巻の演技
瑛太の変わりようもすごい。
びっくりしたのは田中裕子。
目に光がない。怖すぎる。
でも最後の吹奏楽のシーン。
あれは間違いなく人間なのよな。

日常を繰り返すことで徐々に違和感を忍ばせる(水筒から出てくる砂利、なくなった靴)
とにかく気持ち悪さを感じる前半

打って変わって後半は清々しい演出
田舎町の美しい景色と自転車、2人だけの秘密基地。
どこか懐かしく愛おしい時間を作り出してる

恐るべし振れ幅。

【映像】
前半がとにかく気持ち悪い
闇や影を使い気持ちの陰影を描き出す
→怪物を体現するように

構図も少しズレたような違和感を感じる
ここぞという時のロングショットが映える

子供目線の時の映像がとにかく美しい
明るく色もカラフル
緑がよく映える
最後の草原を走るシーンとかマジで名シーン

【感想】
完全にミスリードを喰らった。
怪物っていうもんだから
ずっと誰が怪物なのか探し続けた。
自分の息子?担任の先生?学校の先生たち?

被害者だったはずの息子が加害者にされ
担任の目線になると誰が悪いのかわからなくなっていく。

そして子供の目線になって初めて気づく。
怪物はいない。というより子供達以外の全員が怪物なんだ。

前半に散りばめた違和感をしっかりと回収し
尚且つ演出とストーリーに無駄が全くない

湊とユウリの2人の時間を見るために
あの前半が死ぬほど効いてくる。

スピッツの歌詞にあるみたいな
誰も触れない2人だけの国
まんまの映像。

ジャンルとして人間ドラマとしても一級品
全員に心の動きがある
母としての苦悩
担任としての苦悩
校長にも悩みがあって。
なにより自分を理解するまでの湊と
素直になれた時のあの笑顔がいい。

やっぱすごい。
興奮して書き殴っちゃった。
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