アンソニー

怪物のアンソニーのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

物語に隙が無いですね。
ツッコミどころがあるといえばありますが
それは感情的なシーンに限ることが多く
正直、自分がキャラの気持ちを
理解するに至らなかっただけで
そこを指摘するつもりはありません。
ここで誰かの感情を否定すると
私も怪物の一人になるかもしれないですね。
気付いていないだけですでに怪物なのかも。
皆が誰かにとっての怪物になり得る。
そんなメッセージを感じました。

本作はそれぞれが断片的な情報を
持っていて
それによる勘違いや行き違いが
大きな事件を生み出します。
社会は責任の所在を求め
悪を組織から排除することで
事が解決したと思い込み安心します。
果たしてそれは正しいのか。
本当の怪物はどこにいるのか。

物語は学校に通う子供が中心に
進んでいきます。
その一番の外側に存在する母親から始まり
次に教師、最後には中心に位置する
子供たち。
だんだんと円が収縮する様に
全ての真相に迫って行く構図が
最高でした。
登場人物たちの謎の行動の数々、
ミスリードの連続で
真実が分かったかと思えば
さらにその奥に真の答えがある。
ミスリードのマトリョーシカですよ。
何回振り回すねん!と言いたくなります。
子供が振り回すおもちゃのように
僕は脚本に振り回されて大変です。

細かいセリフや演出の裏付けまで
全てが入念で、
メッセージ性とストーリー構成が
見事にマッチしていて、
本当に素晴らしい作品でした。