JYUKI

怪物のJYUKIのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
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生きるということは難しいね。
人と関わっていかないと生きていけないけど、人との関わり方で人は一生悩む。自分に勝手に期待して、他人に勝手に期待して良かれと思ったものが全然違う方向に行ってしまうこともある。難しい。
大事なのは5W1Hかな。「いつどこでだれがなにをなぜどのように」一つでも欠けたときにそれを自分の思い込みとか推測だけで埋めてしまうのはよくない気がする。って毎回こういう映画を見ると思うのに、いざ自分のことになると忘れてしまうのは人間の罪深いところ。

2時間あるのにあっという間だった。
坂元裕二の作品としては「屁理屈な会話の応酬」がなくてさみしかったけど、ドラマティックな起承転結のある筋ではなかったけど、進んでいくにつれ解像度があがっていくきれいな脚本だった。もう本当にすごいです。

子役2人がとてもよかった。もはや子役と呼んでいいのかもわからないけど、2人のシーンは2人の間にのみ流れている空気間というか友情なのか(愛情と言ってていいのか)フレッシュで無邪気でむずがゆさがあった。柊木陽太くんはPICUのときから見ててお芝居に涙出たけど、2人とも将来が楽しみすぎる。




一番いやだったのは、学校の先生たち。
目に見えるものだけが自分にとっての真実になってしまうのは仕方ないこととはいえ、瑛太の印象が前半と後半でどれだけ違ったことか。バイアスがすごい。校長先生が孫との写真の角度を調整しているところのいやらしさと嫌悪がすごかった。守るものが大きくなりすぎると人間は駄目になるな、、、。
でも、校長先生と湊の音楽室のシーン、よかった。校長先生悪い人じゃないのかなって思った。「誰かにしか手に入らないものは幸せじゃない。誰にでも手に入るものが幸せ」みたいなセリフが坂元裕二を見てるなってちょっと思った。湊にとって好きな人との「結婚」は手に入らない(かもしれない少なくとも今の日本では)けど、好きな人がいるというのは誰でもできることで、そういうことができることが幸せと呼べることで、湊の気持ちを軽くしたのかなとかさ。


最後は物理的にはバッドエンド(だと解釈した)でも、少なくとも、あの時の2人にとってはハッピーエンドだったと思う。
JYUKI

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