ゆず

怪物のゆずのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
3.8
まあでも飴は舐めちゃいかんわな
パピコ。1つの出来事を複数の視点で描くのって、神の視点というか、良くも悪くも答え合わせをしているような気分になる

「音楽室のシーンで3回響く楽器の音がとてもいいので、それを邪魔しないようにします」

母親は学校という組織が理解できずに怪物だと思い、学校は母親をモンスターとみなす。子どもも自分の中に芽生えた、えたいの知れない感情の向こうに怪物を見る。

僕はだいたい、物語を何かが起きた後から始めることが多い。今回の題材なら、おそらく嵐の後を描いた。でもこれは、何かが起きそうな、嵐の前の話。それが視点を変えて繰り返される。僕が書いてきたものと全然違うと思いました

子どもたちを抱きしめて終わる話じゃない方がいいと。大人に救われて子どもが世界に引き戻されるより、大人が置き去りにされる方がいい、大人にはつらく厳しいけど、未来があるなと思った。

口にする人物を変えながら1つの言葉(豚の脳)を使っていく

車の運転中、赤信号で停車していたら、前にトラックが止まっていて、青になってもそのトラックがしばらく動かないものですから、クラクションを鳴らしました。ですが、それでもトラックは動かず、『どうしてだろう』と思っていると、ようやく動き出した後に横断歩道に車椅子の方がいらしたんです。そのトラックは車椅子の方が渡りきるのを待っていたのですが、私にはそれが見えなかったんですね。それ以来、自分がクラクションを鳴らしてしまったことを後悔し続けておりました。このように世の中には普段生活していて見えないことがある。私自身、自分が被害者だと思うことにとても敏感ですが、自分が加害者だと気づくことにはとても難しい。どうすれば、加害者が被害者に対してしていることを気付くことができるのだろうかと、この10年あまり考え続けてきて、描き方の一つとしてこの方法を選びました
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