り

怪物のりのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

蓋をあけてみたら羅生門のスタイルで、『だーれだ』は序盤の割としっかりめのミスリード……というか没入させるためのキーワードだったんじゃんと思いました。

怪物の存在を信じて探しながら映画を観ていた観客怪物が私です。


人はほとんど球体みたいな多面的なものだし、自分は自分の認知できた世界のスキーマで日々をやってるということを、あらためて胸に刻まれた感じがします。

帰り道は映画のことと、自分が小学5年生だった頃のことを考えた。明日や明後日や来月にもきっとこの映画のことを考えると思えるところが良い映画。







子どもが痛い思いをしたり、色々なつらいことが物語のトピックとして次から次へとだから、しんどい人にはしんどい映画かもしれない。もしくは受容や感謝の芽生えがあるかもしれない。

優しさと賢さに特化した二人が、つらい気持ちにならざるを得ない状況は思い出してもかなしい。

現実を良くするためには、まだたくさん考えるべきことがあったんだと、流れで日常やってんじゃないよ自分、ってなってる。








車で子どもを探しに行った母親が、帰りに幸せな家庭(普通の)って話を始めた時の違和感すごかった。なんか急におばあちゃん世代のセリフみたいだなと思った。あそこの“ここテストに出ますよ”感がなんとも。情報をみないようにしてて、クィアパルムとったのとか知らなかったんだけどね。おかげで早めに怪物を探す映画じゃないって気がつけたから、逆にあえてなのかも。あえての提起セリフ。





ラスト、二人の立場状況が変わったわけではなく、(二人からみた)世界の方が変わった。だといいなと思いました。
電車はノアの方舟のメタファーみたいなツイートを見かけて考えてみたけど、いまいちまだピンとこないというか…21世紀の方舟だとしても唯一神信仰がこの映画とそんなにマッチしてない気がしてなんかまだ私の考えが足りてないのかな。





あと角ちゃんめっちゃ癒しだった。
り