オッポロゲンガー

怪物のオッポロゲンガーのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます



安藤サクラが苦手で苦手で、気になる作品があっても敬遠してたし、是枝裕和の政治批判から嫌いで作品に触れて来れなかったのですが、予告から引き込まれるものがあり、大好きな田中裕子目的に見てきました。
ここ数年で見た邦画トップ3に入る位良かったです。
3部構成になっていて、視点が変わるとこによって、実際に起こっていることが、見る人によって全く違う事実になる。見たいようにしか見ない。という印象で、全員いまいち肩入れできない所が居心地悪くて良かったです。
火事で街が騒がしくなり消防車で赤く光る橋、海?で真っ黒な空洞が出来たように見える街のカットが都度入るのが印象的でした。
役者達の演技は言わずもがな。
特に子役二人の輝きは筆舌に尽くし難い。

三部の少年たちの優しい心の交流は辛いのに、胸にせせらぎのように流れる爽やかさがあります。
山の中の基地は台風の日あれだけ荒れて泥だらけだったのに、彼等にはキラキラ光って見えたんだろうな。

LGBTを絡めて批判が出ているようですが、確かにこれを「LGBT映画」と銘打つのは違うかと。(勿論、LGBTをビックリ要素として使うのはナンセンスだけ)
LGBTに限らず「強いられる普通」となんとなく戦っている我々に、前半あれだけくそババア!と思ってた校長の「誰にでも手に入れられるものを幸せと言うの」と言う言葉は優しく突き刺さり、涙が出ました。

雑誌の誤字を見つけるのが趣味のホリ先生が、星川くんの作文の誤字から二人の思いに気づく所がすごく好きでした。

ホリ先生に嘘を吐いた女の子の理由など、解説動画で新たに気づく所もありました。もう一度見てみようと思います。