zumi

怪物のzumiのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

結婚1周年記念のデートで観に行った。
タイトルから人間怖い系というかサイコスリラーかと思っていたので完全にいい意味で裏切られた。
すごく面白くて、結末を知った今、もう1回観たい。

以下感想の羅列

・みなと君とより君の関係が分かった瞬間のアハ体験感がすごい。順に見ていて、男同士の友達で「いなくなるなんて嫌だ」的なあんな反応するかなとか、作文で2人の名前を忍ばせるなんてことするかな、とか若干違和感があってもやもやしていたけど、より君の「病気が治った、好きな人ができたんだ、〇〇ちゃん」という言葉で2人は恋愛関係にあると分かって全部腑に落ちた。恐らくみなと君が生理的に反応しちゃう場面も思春期だから思わぬところでとかあるのかな、とか思ってたのでそのあたりは私が鈍すぎたのかも。

・みなと君とより君の関係が分かると、なんでだろう?と思っていた他の行動も腑に落ちる。より君が「みなと君は堀先生に打たれている」的な嘘を言ったのも好きな人の嘘がバレたくないというか味方をしたい一心だったんだろうし、みなと君が急に暴れたりするのも好きな人がいじめられてると思うと合点がいく。

・堀先生は2人の関係にどこまで気づいてたんだろう。作文で気づいてたけど、ただならぬ関係だなというところまでくらいかな?恋愛までは確信が持てないような気がする。

・子役2人の演技や小学校の再現がうまいせいか、小学生のころの感覚を思い出した。自分もいじられポジションの子を好きだったことがあるので、その子がやり玉にあげられてると居ても立っても居られない感はなんとなく分かる。好きな人のことを言いたくない気持ちも相まって脈絡なく「堀先生」と嘘をついてしまう子供の感覚もなんとなく分かる。ましてや同性だったらなおさら出したくないはずで、嘘についても感覚的に納得がいく。

・最後の解釈は難しいけど、自分は2人が死んだんだと思った。生まれ変わりとかなくてそのままという言葉とか、行き止まりになっていたフェンスがなくなってること、画面全体が白く霞むし、そもそもめちゃ晴れてること、とかあげたらきりがないけど全体的な雰囲気というか…死んで2人が取り巻く窮屈さから解放された、という感じで、救いと悲しみが両方来た。

・ガールズバーに火をつけたのはより君なのか…?信じたくない個人的な気持ちも多分に入りつつなんとなく違うと思いたい。でも、描写の状況的にはより君は放火をはっきり否定しないし、チャッカマンも夜に持ってるし、そのあとサイレンが鳴るしでより君がやったっぽさはあるし、父親に酷い虐待を受けててるし…わからん。他の人の感想を見よう。

・校長がまごをひいたのか?本当に旦那さんがやったのか?もわからん。ホルンを吹いてる時に指す嘘は孫のことの可能性はあるのかな。堀先生の件は皆でやってるし、誰にも言ってない嘘ではないし…旦那との面会シーンもあるけどわからなかった。

・校長の「誰かにしか掴めない幸せはしょうもない、本当の幸せは誰にでも掴めるもの」的な話の真意もわからなかった。一緒に観た夫は「嘘をついて掴む幸せはしょうもない→みなと君は嘘をついたり隠すのをやめて吹っ切れた」ということで納得したみたいだけど、他の感想もみて自分なりの解釈をもう少し考えたい。

・最後まで見ると、堀先生があそこで飴を舐め始めるのには納得がいかない。確かにプライベートではプロポーズとかゴムとかちゃんとしてないところあるけど、仕事であのタイミングで飴を舐める人物には思えなかった。こちらのミスリードを誘う演出ならちょっと無理やり感があるけど、一体なんなんだろう。

・瑛太はあの役をやるにはちょっと老けすぎてたような気がする。最初のサイコ先生をやるにしても、熱意のある爽やか先生をやるにしても、彼女にゴムなしでも大丈夫、と迫るにしても、もう少し若い方が人物像と合っているかなと思ってしまった。特にゴムなしの場面は本当にいい年して何言ってるんだろう感が正直キツかった。(その違和感も狙いだったりするのかな?)
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