まる

怪物のまるのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
3.8
子供の時は所属している小さなコミュニティが世界のすべてだ。
まず家庭、そして保育園や幼稚園の先生やお友だち、小学校にあがると自我も芽生えていよいよ「クラスが世界のすべて」になる。

普通じゃない異質性は排除されていじめの対象となる。まだ幼い子供たちの無垢な悪意がリアルな描写でキツかった。
田舎の小学校で起きたいじめを先生、親、子どもの目線からそれぞれ描いている。

息子の悩みに気づけなかった母親、クラスを把握できなかった先生、息子を受け入れられなかった父親。
現実世界に自分を偽らず、ありのままでは生きられなかった2人の楽園。
ラストはもう少し希望のあるものであって欲しかったが、坂本龍一の音楽は綺麗で全体のクオリティがとても高い映画だったと思う。生きやすい世界が実現できるよう、現実世界を生きる自分たちは想像力が必要だ。
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