ヤスミ

怪物のヤスミのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.2

是枝裕和×坂本裕二節炸裂。
紡ぐ台詞の1つ1つに意味を持たせる、テンポを生み出す。
それは時に温かみであり、加害性であり、人間関係あるあるを散りばめる天才。

多角的に物事を観ること。
一方の視点、偏った情報でこんなにも見えるもの、受ける印象は変わるのかと。

加えてコミュケーションによる無意識の加害性が今作のテーマの1つだと思うが、加害者と被害者が固定されずにコロコロと進行するのが特徴的だった。

どちらが正しいか、などと他人の事で誰かを悪者にして納得させないと気が済まない視聴者の愚かなマインドこそが怪物だった。
ここまで濃密な内容を2時間で描くことが本当に凄い。

これはミステリーでもなく、性的マイノリティを消費するエンタメでもないのだから明確な落とし所はいらない。
各々の感情でおさめれば良い。

あくまで個人の思考を書き留め。
最後、二人の子供は亡くなったと受け取ったけど意見は別れそう。
嵐が去った明らかな晴天→母と保利先生が探しに行ったのに…?
立ち入り禁止になっていた線路のゾーンが開放→旅立ちの示唆
電車が土砂に埋まる→猫を土に埋葬する描写より

2人が亡くなった、というより2人を残し世界側が2人が生きやすい世界へと変わった。抑圧から解放された。という解釈が近いかも。


視点の切り替え、時系列の巻き戻し、入れ子構造で少し映像リテラシー高くないと着いて行くの難しいのかも…?
勧める方は選びたい作品。

余談、
前情報一切無しだったが、安藤サクラ、野呂佳代のブラッシュアップライフコンビで序盤からウキウキした。
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