このレビューはネタバレを含みます
坂元脚本だいすきなので絶対に劇場で見たいと思ってたら賞も取って絶対見ねばになったこちら。
地味に初是枝監督だな。
……は〜〜〜とにかくすごいものを見たという感じ。
余韻がものすごい。
しばらくはぼんやりするとぐるぐるこの作品のことを考えてしまう…
■初見の感想
上手くまとまらんので箇条書き。2回目見たらまた感想書く。
全然咀嚼しきれてないから早く2回目見たい。
・めっちゃくちゃ集中力が要る。気づいたら手を組んで力込めてたし、息も最小限になってた(笑)電気ついた瞬間、っは〜〜〜って息吐いちゃう感じ。
・この作品に"怪物"ってタイトルがついてる妙。
タイトルがこれなことで、初見は怪物が誰なのか?という視点で見てしまうけど、そういうミステリーではなかった。
息子を守りたかった故の母の思い込み、良い教師であろうとした保利先生の思い込み……「この中の誰が怪物なのか?」と見てる私たちの思い込みもそれと同じじゃん、という。
・母視点→保利先生視点で、色々ひっくり返るのも含め(湊かなえっぽさあった)、色んなとこでミスディレクションが効いてる
・誰もが誰かの怪物たり得るし、誰かを"怪物"だと思うその視線こそが怪物を生むのかもしれない
・"穿った見方"を斜めに見るみたいにいうのは誤用だよ、って話…とか、転覆病?のところとか、さりげない会話のセリフにも無意味なものがない感じ。
・「僕は可哀想じゃないよ」って、湊くんも保利先生も言う。
・保利先生が誤植を探してる。それが趣味だったからこそ作文に隠されたメッセージに気付いたのよね
・保利先生は"良い人"なんだよね。でも思い込みしてしまうし、シングルマザーあるあるとか言ったり、男らしくとか言ったりする
"良い人"の中にも差別はある、ってことなんだよな。
誰もが、"自分には見えてない部分"というのがあって、その範囲って自分で思ってるよりずっと広いし、思いもしない姿をしてるんだよね。"見えてない部分"があるってことを自認していないと、思いもよらないところで加害者になるよっていう。正義の心で、優しい気持ちで加害者になってしまうことが容易にあるよ、という。
・にしても母視点パートと保利先生視点パートで、保利先生別人すぎる。でも周りが見えなくなってる母視点で見たら、きっと確かにああ見えたんだろうな。
・お母さんも保利先生も、「確かにその状況になったらそう思っちゃうわ…」なのがさ…
・消しゴムを拾えないところはどういう意味だったのか咀嚼しきれず、、
・猫の話をしてきた女子
「そんなこと言ってません」確かにそんなこと言ってないのか…「猫で遊んでた」と言っただけで…ここにも保利先生のフィルターがかかってた
・子供達のアンケート、もしかして別に悪い結果でもなかったのかも?見てる私たちの思い込みで
・トロンボーンとホルンの音の演出
母視点のとき不安を煽る音だったのが、保利先生視点で思いとどまらせる音になり、しかもそれが本当は湊くんが言えない想いを思いっきり込めて吹いた音だった、というのが
・靴が片方だけのモチーフ 保利先生も片方になってる
・「誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない。誰でも手に入るものを幸せって言うの」
・校長のことが1番どう捉えたら良いか分からなかったな…トロンボーンのときの雰囲気と、スーパーで子供転ばせたり(母視点でそう見えただけ、の可能性もある)、孫との写真を見えるように置いたりするときと…"自分には見えてない部分"の象徴的な存在?
・あそこで湊にかける保利先生の言葉が「お前は間違ってないよ」なの好き
・泥を退けても退けても見えなくなってしまう
・生まれ変わったかな?
そんなのないよ、もとのままだよ
っていうのがとても良かった。
2人は死んだのではと考察してた人もいたけど、わたしはそうは思わなかった…どうなんだろシナリオ読むと断定してるのかしら。
だって、そんなのないよ、もとのまま、なんだもん……何も変わらない
・キャスト陣が全員本当に良かった
・瑛太の演技すきだな……
保利先生の色々は一旦置いといて、良い先生してる瑛太めちゃくちゃ良かったな〜〜!
・柊木くんなんか見たことあるなと思ったら最愛の優の幼少期の子か〜!!
よりくん、めっちゃくちゃ可愛かったな…いじめられても人懐っこくてあっけらかんとしてて、、でもそれは彼の、"ナマケモノのように諦めて全ての力を抜くっていう技"でもあるんだよな…
それひっくるめて魅力的すぎた