ゆう

怪物のゆうのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.5
観る前から期待値爆上がりでしたが軽く超えられました、本当に怪物コンビだ。

"怪物"という単語はあえてミスリードさせてる、3幕構成のそれぞれにおいて違う怪物を浮かび上がらせていて、本当に脚本賞獲るのも納得。同じ感覚を共有できない、理解しあえないもの。怪物はそんなイメージ。

1幕目はひたすらに厭な気分にさせられる、恋愛のあるあるでエモい気分にさせる天才が、田舎の因習あるあるでここまで最悪な気分にさせることも自在とは思わなかった、脚本の悪魔か?
瑛太と田中優子はエグいな。不愉快な感じ出すのが上手すぎる。

2幕目は視点転換で、違う"怪物"を示唆する。ぞわり。子どもも怖いよね。是枝監督と坂本裕二が上手すぎて、なにをどの程度見せれば観客が勘違いし、それらをどのタイミングで伏線回収すればクドく感じさせず観客が納得するのかを完全に把握してる感じがすごい。人間の脳みその中身を知ってる。本当にすごい。
てかこの子役のお2人も怪物や。特に依里役の子。とんでもない演技力だ。役としての発言にリアリティがありすぎて震える。

ちょくちょく※ストーリーがあまりに重苦しいため美しい諏訪湖の風景をお楽しみください、みたいな脚注入ってそうなシーンが挟まれててなんか笑ってしまった。映像美はさすがですわ。

1幕目2幕目から3幕目のストーリーに行けるのは脳みそがどうなってるんだと思う。そして最後の"怪物"は。
彼らにとってこの世界で生きるのはきっと怪物に囲まれて生きていくようなものだったのかもしれない。同じ感覚を共有できない、理解しあえない、恐ろしい怪物に囲まれて。
宇宙は膨張し続けていつかこの世界は終わる。2人だけの美しく閉じた世界。最悪に美しくグロテスクな形で坂本裕二的エモさがラストに爆発している。最高に好みのラストでした。攻めた脚本とラストシーンだけど、本当に傑作だった。
ゆう

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