最近、自身の舞台の本番が間近で時間がないのだが、是枝監督に脚本が坂元裕二とあらば観ない訳にはいかない。やっとこさレビューも書けたよ😊
物語は映画「羅生門」のように主に異なる3つの視点から進んでいく。最初は湊の母親の早織(安藤サクラ)が、シングルマザーの身で、懸命に息子を育てる姿が描かれる。次に湊の小学校の担任である保利(永山瑛太)が、閉鎖的で保守的な学校から翻弄される様子が。そして小学生の湊(黒川想矢)から見た時に、様々な伏線が回収されていく。この構成が見事。
息子思いの母親の早織が、学校側から見ればモンスターピアレントとみなされたり。生徒のために行動していたはずの保利が、学校の犠牲になり、暴力教師と見なされたり。湊の友達で、もう一人のキーパーソンである依里(柊木陽太)が、父親から虐待を受けたりと。湊と依里が興じたゲームで出てきた"怪物"がキーワードとなり、様々な社会問題を描いていく。さすが是枝監督の演出も素晴らしい。もちろん小学校の校長(田中裕子)の存在も際立っている。
ただ一つだけ、保利のキャラクターに一貫性がなかったことが気になったなあ。
主役の少年、湊と依里を演じた二人は本当に素晴らしくて。特に柊木陽太君のあの存在感は何だろうか。天性のものとしか考えられない。
そして、結末の捉え方は様々だと思うけど、僕には少しの希望の見えるラストだった。二人の行く末が明るい未来であることを願わずにはいられない。
知り合いが本作のスクリプターをやっていてびっくり。監督は穏やかで落ち着いた現場だったそうです。
