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怪物のasakaのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

【はじめに】
最強コンビの映画。見ないわけには行かないので視聴前に沢山予告編を見ていた。
けど実際観たらそれが間違いだったと気づく
怪物だーれだ。の言葉がゆえに見始めからずっと“怪物”の存在を探してしまう。
けどこれは怪物を探す物語ではなければ怪物の正体が分かる話でもない。
全て視聴者に委ねられる物語。
この映画の問題は正解がないものなのでこれをみて自分がどう感じたかということを大切に考えるのがおすすめ。

【物語に対して】
是枝監督の作品は、「何か」が起こってしまった。という流れが多いがこの映画は
「何か」が「起こってしまうのではないか」という予知の映画だと感じた。

例えば、誰も知らない~nobodyknows~は
起こってしまった不幸な事件について世の中がどうするべきかを問われる様な話だが
怪物は、このままだと何かが起こってしまう
起こらないために私たちはどうするべきかー
を問われている様に感じる。

11歳という、まだ思春期にも満たないくらいの年齢の子供たちにとって、”大人”という存在がどれほど影響力があり”怪物”になり得るのかかを見たような気がした。
母親からの愛情。
学校の教育。
テレビのバラエティー番組のネタ。
日常の中のさりげない一言が11歳の子供の成長においてここまで影響するのだと感じた。

登場人物それぞれが持つ”正義”は
他人を苦しめその違いが”怪物”となって現れる。日常を生きていて決して目にすることができない人との間に生じる現象を綺麗に映し出してくれるからこの映画は面白い。

映画の最後は1番視聴者に委ねられており、
私は個人的に彼らが”怪物”から解放された瞬間に思えた。ただそれが彼らにとって
死後の世界だとしたらこんな辛いことはない。

【演出に関しての感想】 
安藤サクラ演じるサオリ目線でのシーンで瑛太演じる保利が飴を舐めるシーンだけ不要に感じる。後に保利目線で飴の伏線が回収されるが決してそれを見たからと言ってそこに同情ができなかった。

坂本龍一さんのピアノが“不安”や”怒り””愛情””解放”を音にしていてでもそれが視聴者の感情を煽るサントラではなくナチュラルに溶け込み気づけば音がある。そんな風に感じた。

子役たちの演技は圧感もので、自然すぎる演技には、誰も知らないの時同様是枝監督のある意味不自然な裏側があったらのだろうと感じた。最後は子役たちの演技に涙してしまいました。

最後に全ての登場人物からの目線で作品を観たいと思ったので見直します。
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