とむら

怪物のとむらのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
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演技も演出も音響も音楽も脚本も素晴らしかったけど、もうここまで来ると倫理観の話で、子どもや性的マイノリティの所謂弱者(それが少年期のあやふやなものだとしても)を2人だけの美しい世界に追いやって我々が消費するのってもういいよって感じかもしれない。この作品のタイトルが怪物でなければそれも許せたかもしれない。

彼らだって怪物の一員として社会で生きていかなきゃいけないんだから、この終わり方ってあまりにも無責任な気がしてしまう。彼らが前向きな気持ちになったというだけで、ありのままで良いというメッセージも希望ではなく綺麗事のように感じる。それは個人の感想に委ねることではなく監督が伝えたいことのはずなので、希望が見える社会を作中で描いてほしかったかもしれない。

ただ、泥を掻き分けるのが星空みたいに見えるんだって、そんな価値観を持っていきたい。
とむら

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