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怪物のwksgknchのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

怪物


監督は是枝裕和さん、脚本は坂元裕二さん、音楽は坂本龍一さん、御三人、関係者の皆さん、素敵な映画をありがとうございます。

まずは、観てほしい。大人とか子供とか、性別とか関係なく、正しさとか優しさとか、何が大事か、自分の中で、そういうことを揺さぶられる。流石としか言いようがない。

クィアパルム賞を受賞したことからLGBTQ映画?そう理解されうる場面がある?とわかってしまう結果になったのは本当に残念です。しょうがないですが。

もう、とにかく子役が最高。毎回そうなんだけど、子供に演技させることと、その映像が素晴らしい。それだけで五億点です。
それを中心にして通すことだってできたはずだけど、そうはしなかった、あえて、しなかったと思うと、社会問題や視点の恐ろしさも描きたかったのかな。

あとは、ポイントとなりそうな点をあえて最後、結末を描かないことも良かった、それが良い感じに映画全体をフワッとさせることになり、映画として価値観を押し付けないかたちになっていて、考えさせることに繋がっている。

母の目線、先生の目線、子の目線という3つの視点、それぞれの立場から描く、客観的でなく主観的にすることで、それぞれの立場や思惑や考えや立脚点がわかり、自然と観客に考えさせることにつながる気がする、あなたも自分だけの立場で物を言ってない?と。

それぞれがそれぞれ正しいし、自分なりに相手を慮って行動しているし、おかしくはない、のにも関わらず事態がどんどん悪化していく、良かれと思ったことがそうでもない、ということが連鎖していきある時点で自分の力では変えられないところまでいってしまった、そういう感じ。

先のLGBTQに引っ張られるてしまうことの弊害は、本作での描きたかったことが、思春期特有の成長や感情、少年から青年へと変化する多感な時期の一コマであり、単にその主張としての単語に回収されてはあまりに切ない。イニシエーションでもあるし、同性でも異性でも友情や愛情、恋や愛にはグラデーションが多分にあって、0、100とか、うーん30くらい?とかそういう話しではないと思うので、それは本件では関係ないがLGBTQでも同じだと思う。

まちの雑居ビルが燃えている、同じ時をきっかけにして別々の物語をつみぎ、ラストに収束させていく流れは良かったし、ラストの展開は観る人によって解釈が変わるかもしれないし、それまでの絶望から晴れ渡った爽快なシーンだった。

物語全体を通して、映画の側では結論をあえて出さないように見えたし、上でも述べたように観点や立場、人によって変わること、正解なんて無いことを暗に示している。
また、極論じみているかもしれないけど、親にとって子供は絶対でも、子供にとっての親は絶対ではない、ということも感じた。
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