このレビューはネタバレを含みます
「怪物だーれだ」の予告編以外の前情報ほぼ無しで観に行ったのですが、怪物は(登場人物でも我々でもなく)是枝裕和と坂元裕二だと思いました。
現実世界の割り切れなさとしんどさをこれでもかというほど突きつけて来る作品で、正直「人が一人冤罪で死にかけてるのに、それを後景にラブストーリーやってんじゃないよ」って気持ちもあったのですが、でも現実世界もそんなもんだよな、という思いもあり、結局何を考えてもひたすら現実のしんどさが押し寄せて来ています。
シングルマザーへの偏見も、井戸端の噂話も、我が子への愛情も、小学生の初恋も、人間生きていれば全てが"怪物性"を持つものなのかもしれません。
フィクションは割り切って楽しむもの、現実は割り切れない、そんな関係を逆転させるような怪作でした。