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怪物のべるのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

なんだろう。もう鑑賞してから三日は経つのにずっとこの作品のことを考えてしまう。ラストの余韻にずっと浸っていたい。一つの出来事を主に三つの視点から俯瞰して、観客が神様の視点から物語を見ていく。この映画を観て、物事には一面だけではなく、人の数だけ側面があり、それが入り混じって複雑になるという、当たり前のことに気付かされた。
普通の家庭、幸せな未来。同性愛者は自分が"普通の"幸せを手に入れることができるのか、今までの社会が創り上げてきた"普通"に適応できないことに苦しんでいる。その現象を、すべての言葉を鵜呑みにしてしまう、純粋な子供の視点から観客に見せることでより、深い意味に落とし込んでいる。お母さんの何気ない一言が、学校の指導の仕方が、多様性を理解しているつもりの社会をうまく表現していて素晴らしいなと思った。
ラストシーンにかかる坂本龍一の音楽。鳥肌どころの騒ぎではなかった。草むらを走る二人。神秘的な音楽と美しい映像が組み合わさって、天国なのかと思った。ラストシーンの解釈は人それぞれだが、目の前にある美しい映像をとにかく堪能したい、そう思わされてしまい、何も考えられなかった。もう一度体験したい、そんな作品でした。
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