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怪物のERのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

 芥川龍之介「薮の名」のように、価値観・立場によって見え方は違う。それは当たり前なことだけど、自分の価値観・立場から相手のことを推察することは難しい。社会生活を送る上で相手の立場を考えることの難しさを、改めて実感する。

 ある立場の人にとって、理解できない行動をしてる人は「怪物」のように思える。しかし、その「怪物」もその人の背景の中ではいろんな価値観のもと行動している。マジョリティにとって「怪物」として扱われる人の生きづらさよ。そして周囲の人の背景を考えることの難しさよ。

 個人的には依里くんをいじめていたガキ大将のような少年が、ラストで両親の新聞配達の仕事を手伝っているシーンが、印象に強く残った。

 依里くんと湊くんが晴天の中駆けていくラストシーンでは、この世あの世問わず2人の思いが叶った喜びと、残されたホリ先生や親御さんの苦しみを感じる。誰かの思いが叶う時、その周囲の誰かの思いを踏みにじることは多い。そんな世の中で、自分自身も強い意志を持って行動していきたい。
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