たこふみ

怪物のたこふみのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

脚本の面白さ ★★★★★
映像の美しさ ★★★★★
俳優の演技 ★★★★★

面白くて2回観た。
いろいろ見どころはあるのだが、やはりみんな気になるのはラストの解釈だろう。
2人の少年は死んでいない。生きている。死んだのは2人ではなく、彼らが以前いた世界のほうだ。星川をいじめる同級生、彼の性的指向を否定する父親、息子に将来家庭を持ってほしいと願う麦野の母親、同性愛を否定する世間、そうしたものが死んだのだ。2人はバスから脱出して野原に出てきたとき、こう言っていたではないか。「ぼくたち生まれ変わったのかな。」「生まれ変わりなんて信じない。ぼくたちは元のままだ」と。
皮相な言い方になるが、映画は所詮虚構の世界であり、解釈の頼りになるのはそこで描かれているものしかない。素直にあの映画をみれば、上に書いたような解釈に辿り着くほかないだろう。
たしかに、この作品は3つのパートが矛盾のないように完璧に作り込まれている。そのため、人はラストについても矛盾のない、「正しい」解釈を求めたくなる(事実、私も2回目に観た直後はそうだった)。
しかし繰り返すが、これは映画であって現実ではない。是枝監督や坂元裕二が伝えたかったのは、この映画のラストは紛れもないハッピーエンドであり、現実世界もこのように変わってほしいということなのだと思う。
たこふみ

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