misaki

怪物のmisakiのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
3.9
話の内容的にはマッツの『偽りなき物』に似ている。

ただ、あちらはマッツ(幼稚園の保育士)の視点のみだったが、
こちらは保護者、教師、子どもという3つの視点から描かれる。

現実の世の中で起こるあらゆる事象もこういう事なんだろうなと思う。
私たちはある一方の視点からしか知らず、(知ろうとしないか、もしくは他の視点に気付かない、もしくは他者によって意図的に遮断されている)その物事の全てをわかった様に判断する。

大人になれば成る程、自分の判断に疑いを持ち辛くなる。
たとえ別の視点からの考えを知ったとしても、自分が正として生き続ければ、自分に不利な考えは勝手に排除しようとする。

もっと世の中は単純で良いのに、この映画の子どもたちの様に、ただ生きることに一生懸命で、自分の気持ちに正直でいたら楽なのに、大人は自分の身を守る為に複雑にしようとする。

いつからそう変わってしまうのか。
この映画に出て来る大人たちは本当に生きづらそう。
色んな物や人や考えに縛られて、自分を守る為に都合の良い結果に持ち込もうとする。そうすることで、もっと自分を縛りつけていることに気付かずに。

自分も色々な物事に対して偏った視点を持ってしまっているんじゃないかって思う。持ってしまったら、それに自分自身で気付くのは難しい。
だけど、皆んなが子どもの様な心を持ち続けたまま大人になっても生きていける世の中が訪れるなら、それが一番平和なんじゃないかなと思う。
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