ようやく観に行けた。
坂元裕二脚本とは相性が悪い時もあり、是枝監督とのタッグに不安はありつつ。
前半の不穏な展開に悪い予感が的中したかと思っていたら、嵐が来る辺りから子どもたちの演技が輝きを増し、俄然引き込まれていった。是枝監督作品は本当に子どもたちの演技の掬い取り方がうまい。
「怪物」とは誰なのか?は、登場人物全てにとって様々だ。観た後の我々観客にもそれは投げ返される。
必ずしも性的マイノリティに関することがこの作品の主題ではないと思うし、脚本はひょっとしたらもっとそちらを描きたかったのかもしれないけれど、是枝監督はもう少し違う射程でこの作品を捉えているようにも思う。
あの廃列車、廃線の先に彼らが見たものはなんだったんだろう。
大人たちがどんなに過ちを後悔しても、「生まれ変わったけど何も変わらない世界」に進んだ彼らを現世に引き留めるものはもう、何もないんじゃないかと思った。