柩

怪物の柩のレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
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子供たちを追い詰めたのは、依里の父親の「豚の脳味噌」という明確に悪意を持った発言だけではなく、組体操で崩れ落ちた湊に対する「それでも男かよ」という保利の一言、早織が口にする「湊が結婚して家庭をもつまで頑張る」という決意など、日常に潜む何気ない言葉でもある。誰もが無意識に他人を傷つける怪物になりうる。けれども誰もが幸せにもなれる。誰かにしか手に入らないものは幸せとは言わないのだから。「生まれ変わったのかな」と言う依里に「元のままだよ」と語る湊。ありのままの自分のままでも幸せになれるのだ。2人が草むらを駆け抜ける晴れやかなラストが美しく印象的だった。
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