わたしは是枝監督は多様性ではなく、物事の多面性の表現に挑戦し続ける監督だと思っています
彼の作品を観ていつもわたしは、物事には多面性が必ずある。しかしそれを認識することはほぼ不可能であること
むしろひとは多面性の存在を望まないばかりか、その一面を自分の固定観念から決めつけ、押し付け安心する生き物だと考えさせられるのです
怪物とはその一面に固執したがる、「鑑賞している私達自身」であることを、この映画は是枝作品にしては非常にわかり易く作られています
それは複数人の人格を並行的に表現することに巧みな、坂元脚本の功績だと思います
まあ、"wonder"の影響も感じますが
因みに鑑賞あとでも、全ての元凶はクラスのイジメっ子だと思っているなら、その人の怪物はかなり大きいものだと思います