怪物のむるむるのネタバレレビュー・内容・結末

私の好きな坂元裕二脚本ということもあり、ネタバレを踏まないようにしていたのだが、どうしても気になる怪物についての記事があり、それを読んでの視聴となった。
そのためオチを知っている状態で観てしまったのだが、それでも十分に楽しめる作品だった。

ただ、やはりこの作品を何のてらいもなく面白かったと言い切れてしまうのは自分が当事者ではなく他人事だからではないか、という居心地の悪さは片隅にあった。

今まさに同じような状況にある子が、同じような悩みを抱えている子が観た時に、その子を傷つけないか？苦しめないか？ということを考えるとあまり万人に勧められる作品ではないように思う。
「怪物」というのもマジョリティ側の加害性を暗示してはいるものの、作中の子供達は自身を怪物と捉えている節があり、鑑賞者にそのままに捉えさせてしまった時の深刻さが恐ろしくもあった。
あくまでこれは無自覚なマジョリティに加害性を気づかせる作品であり、マイノリティを救う作品にはなり得ていないのかな…と思った。

昔よりも同性愛者の存在が表に出るようにはなったが、まだ立場や権利が揺らいでいる現代に出す作品としては危ういように感じた。これが一昔前ならまだわかるのだが、今これか…という。
しかし是枝監督の対談記事を見て、監督の今後の作品への期待はある。私個人としては本作も楽しんで観られたのは確かなので、次回作を楽しみにしている。